音楽の解釈って何?

音楽に関するテキストや記事を読んでいると、

「解釈」

っていう言葉がよく出てくるんですよね。

「このピアニストのショパンの解釈が〜」とか「新しい解釈を〜」とか。

ピアノのコンクールの動画についているコメントにも、「この曲にこういう解釈があったのかと唸りました」みたいなのがあったりして。

うーん。解釈ねえ。

解釈とは、作曲者が楽譜に込めた思い、物語、その背景。そういうのを読み取って、どのように音として表現するか……

そんな感じの説明をどこかで読んだ気がするんですけれども、個人的には全くピンときてなくて

そりゃ私だって、悲しい曲だとか、壮大な曲だとか、そういうのは感じますよ?

でも演奏者によって曲の解釈が違うって?この作曲家がこの曲で表現したいのは深くて静かな悲しみかなーとか、いや怒りを含んだ悲しみかなーとか?

うん、まあ、そこまでは理解できます。人それぞれ色々な捉え方がありますし、みんな違ってみんな良いんですよ。ただ、問題はそこから先です。

その解釈の違いが、演奏を聴くと分かるって?

同じ曲を、同じ楽器で、同じ楽譜で弾いてるのに??

どこがどう違うの??ねえ!?

……という状態です。

例えばショパンの「子犬のワルツ」っていう曲がありますよね。あれを色んなピアニストが弾いているのを聴き比べてみたんですが、私の感想は

「みんな上手だなあ。」

で終わりました。

……。

……。

だって同じ曲だもん!!

同じ場所で盛り上がるし、同じ場所に同じアーティキュレーションがあるし、同じようなテンポだし!!ジャズ ver.とか、ボサノバ ver.とか、それくらいアレンジを変えてくれないと分かんないよ!!

などと思う始末です。

「もしかして私は、音楽の解釈の違いを理解する能力が決定的に低いのでは……」

と軽く凹みましたよね(笑)

でも、最近思い出したんですよ!

クラシックじゃなくてミュージカルだし、楽器演奏じゃなくて歌なんですけど、私にも過去にあったんです。

同じ楽譜、同じ伴奏、同じテンポ、同じメロディに同じ歌詞、それでも

「この人!!この人の解釈が好き!!」

って思ったことが、私にもありました!


それぞれの表現をユニークなものにする「何か」

それが、ヒュー・パナロ(Hugh Panaro)さんが演じる「オペラ座の怪人」の怪人です!!

もう20年以上前にブロードウェイで上演されているのを観て、

「好き……!!」

と思いました。

全く同じお芝居を2回も3回も観に行ったのは、後にも先にもこの「オペラ座の怪人」だけ!

最初は単に私は「オペラ座の怪人」という作品が好きなのだと思って(実際に作品自体も好きですよ)、上演後すぐに劇場で売られていた「オペラ座の怪人」のCDを買ったんです。

でもCDに収録されていたのは「ロンドン・オリジナル・キャスト」の舞台で、その中で怪人を演じていたのはマイケル・クロフォードという人。

その後2004年に映画版の「オペラ座の怪人」が公開されましたが、その怪人役はジェラルド・バトラー。

さらに2012年にロンドンで行われた25周年記念公演のブルーレイが発売されましたが、その怪人役はラミン・カリムルー。

どの怪人も素晴らしいんですけど、私が「好き……!!」と思った怪人とは何かが違ってて。うまく説明できないけれど、何かが違ってて……。

うーん、なるほど、確かにありますね。

同じ曲で、同じテンポで、同じ場所で盛り上がる、それなのに「誰が歌ってるのを聴いても『みんな上手だなあ。』で終わってしまう」なんてことのない、それぞれの表現をユニークなものにする「何か」は存在しました。

やっとピンときたわ!!歌ならなんとなく理解できる!!

例えば歌のテクニックの一つに、歌声に息を混ぜるウィスパーボイスっていうのがあるんですけど、その息の混ぜ具合で「ため息」のような憂鬱感を出したり、「ささやき」のような優しさを出したりできるわけですよ。

あと、怒りをクレッシェンド(だんだん強く)で表現するという指示でも、じわじわこみ上げるような怒りなのか、最初は溜め気味で最後の方にブチ切れるような怒りでは、印象が全く違う!!

なるほど同じ楽譜で同じテンポでも音に違いを出すことはできて、そういう細かな違いを重ねることで、その曲の登場人物の人柄や感情が表現できますね!

そうやって奏者・役者が表現したものを、観客が「これがこの奏者のこの曲に対する『解釈』なのね」と受け取る。

で、その解釈が観客の好みなら「ブラボー!!」ってなるし、

観客にとっては斬新で、でも受け入れられるものなら「こんな解釈があったのかと唸りました」になるし、

観客の好みに合わなければ「こんなのショパンじゃない。」とか言われるw

そうねー分かるわー、「ブラボー」も「こんな解釈が〜」も「こんなの〜」も、全部分かるわー。

たとえば「オペラ座の怪人」の怪人なら、不気味さ・残忍さ・色気・悲しみ・幼さ etc.をどれくらいの配合で調合するかが肝になってくると思うんですが、もし不気味さが強すぎたら「なんでヒロインはこんな不審者についていったのよw」って思っちゃうし。

どういう感情をどういう表現でどういうバランスで出すか、そういうのをまとめて「解釈」って呼ぶのかもしれないですね!


クラシック音楽を特別扱いする必要はない

こんな風に、ミュージカル音楽なら、映画音楽なら……って考えていくと、音楽の「解釈」というのは割と身近なコンセプトなんだな、という気がしてきました。

クラシック音楽の「解釈」って考えるとなかなか理解できなかったけど、別にクラシック音楽を特別扱いする必要はないはず。

エンタメ業界全体で言えば、小説のマンガ化される時やマンガがアニメ化される時にも「解釈の一致」「解釈の違い」なんて表現を使うことがありますもんね。それと似た感じなのかなーと思います。

まあ、クラシック音楽は再現性を重視しているみたいなので、勝手に楽譜の一部をカットされたりメロディをいじられたりすることはなく、その分アニメ化とかドラマ化と比べて表現者による解釈の違いを見つけるのが難しいっていうのはあるでしょうけども。

それはただ、私がまだその域に達していないというだけで、私の「音楽の解釈の違いを理解する能力」が致命的に不足しているわけではないのだ!!

……と、信じておきます(笑)

聴く方も弾く方も、クラシックだからって肩肘張らないで、リラックスして臨んでみようっと!

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