バッハの「インベンション」は1番から15番までの15曲がありますが、これって別に「難易度順」に並んでいるわけではないんですね。
「じゃあ難易度順に並べたらどうなるの?」
そう思って調べていたら見つけたのが、「ウィルヘルム・フリーデマン・バッハのための練習帳」です!
(以前は全音から「原典版34 バッハ フリーデマンバッハのためのクラヴィーア小曲集」という名前で国内版が出版されていたそうですが、今はほぼ出回ってません……。)
「ウィルヘルム・フリーデマン・バッハのための練習帳」は、バッハが息子のフリーデマンの教育のために与えた小品が書き込まれた楽譜帳。この楽譜帳に収録された順が、「バッハがどの曲をどういう順で息子に与えたのか」を示しているとのことです。
というわけで今日は、「インベンション」の15曲を「ウィルヘルム・フリーデマン・バッハのための練習帳」に収録されている順にまとめていきますね!
<参考>Klavierbüchlein für Wilhelm Friedemann Bach
「インベンション」15曲の難易度:バッハが息子に与えた順番
のちに「インベンション」として再編される曲たちは、「ウィルヘルム・フリーデマン・バッハのための練習帳」の中では「プレアンブルム」という名前がついています。「前奏曲」というような意味らしいです。
そんな「プレアンブルム」と「インベンション」、そしてバッハの曲につけられている「BWV」の番号を対応させると下表のようになりました。
プレアン | BWV | インベンション | 調 |
---|---|---|---|
1 | BWV 772 | 1 番 | ハ長調 |
2 | BWV 775 | 4 番 | ニ短調 |
3 | BWV 778 | 7 番 | ホ短調 |
4 | BWV 779 | 8 番 | ヘ長調 |
5 | BWV 781 | 10 番 | ト長調 |
6 | BWV 784 | 13 番 | イ短調 |
7 | BWV 786 | 15 番 | ロ短調 |
8 | BWV 785 | 14 番 | 変ロ長調 |
9 | BWV 783 | 12 番 | イ長調 |
10 | BWV 782 | 11 番 | ト短調 |
11 | BWV 780 | 9 番 | ヘ短調 |
12 | BWV 777 | 6 番 | ホ長調 |
13 | BWV 776 | 5 番 | 変ホ長調 |
14 | BWV 774 | 3 番 | ニ長調 |
15 | BWV 773 | 2 番 | ハ短調 |
え、バッハが2番目に与えたのはニ短調の曲なの??
私がインベンション1番の練習で苦労したのは、まさにそのニ短調のパートなんですけど……(笑)
まぁでも、「譜面の見た目」的にもインベンションの曲の中では
- ニ短調(4番)
- ホ短調(7番)
- ヘ長調(8番)
- ト長調(10番)
が弾きやすそうな気はします。
「インベンション」15曲の難易度:理解をスムーズにするための順番
ちなみに、音楽之友社さんから出版されているこちらのムック本↓
この中にある「バッハ《インベンション》が楽しくなるレッスン」という特集で、「※取り上げる曲の順番は、生徒の理解をスムーズにする流れの一例として、筆者が考えたものです。」という但し書きとともに紹介されている順番が下表です↓
指導順番 | インベンション |
---|---|
1 | 第1番 |
2 | 第4番 |
3 | 第8番 |
4 | 第14番 |
5 | 第13番 |
6 | 第9番 |
7 | 第2番 |
8 | 第12番 |
9 | 第5番 |
10 | 第6番 |
11 | 第10番 |
12 | 第7番 |
13 | 第11番 |
14 | 第3番 |
15 | 第15番 |
現代の指導者の方から見ても、やはり1番の次は4番、それから8番あたりにいくのが妥当みたいですね。
「インベンション」15曲の難易度:テクニックと理解
テクニックも曲の構成も、学べることが多いバッハの「インベンション」。
学べることが多いからこそ、「難易度」といっても「指を動かす難易度」なのか「曲を理解する難易度」なのか?いろいろと考慮することがありそうです。
まぁそれでも、
- 初期:1番・4番・8番
- 後期:3番
このあたりは割と手堅いのかなー。あとは生徒の得意・不得意にもよる、という感じで。
そんなわけで、私も素直に1番の次は4番の練習をしようと思います。
待ってろニ短調!!